top of page

ファゴット​リードの作り方

| 第2部 リードの作り方(リードを仕上げる)

​ ~メイキングマシンを使って仕上げる~

そもそもマシン(機械)というものは、素材の材質が均一な材料を均一な製品に仕上げるものであり、その時に機械としての力を発揮するのであります。

したがって、リード材のように材料に均質なものを求めることが難しい素材は、

金属やプラスチックのようなわけにはいきません。

 

近年においてはリード材の硬さや密度を測定する機器を使用して材質をある程度の範囲内でグループ分けすることが出来るようになりました。

私は一つの範囲に入るものを選別するのではなく、いくつかにグループ分けをして、そのグループに適するシェーパーを使用してプッペを作り、マシン(機械)をトゥール(道具)のように使ってリードの仕上げをやっています。

 

以前、手でリードを作っていた時は、リード作りの重要なポイントとして、左から順番に削っていました。

IMG_3560_edited.jpg
fgリード5.jpg

現在、私はメイキングマシンを使っています。

1982年に私の気に入ったリードを、小山昭雄氏の紹介によりリーガー社に持ち込み、私のリードをコピーしたテンプレートのメイキングマシンを作ってもらいました。

リーガー社製のマシンを使って仕上げる
これから示す方法は、長年リーガー社製のメイキングマシンを使ってきて
私なりに行き着いた方法であります。
1. チューブの穴をボーカルに合わせるためにリーマーをかけます。
削る長さを調節するのに、セメダインのキャップに穴をあけてリーマーに刺して使うと目安になります。
IMG_3716.jpeg
IMG_3717.jpeg
2. 仕上げのサイズより約1mm長くカットします。
3. メーカーが付けたスジに、リードの先端を合わせて全体を削ります。
4. 次に長年使い込んだ機械を見ていただくとわかるように、何となく機械の摩擦で擦れて出来た写真の黒い線の部分まで先端を延ばして差し込みます。
IMG_6398.jpg
5. 手で削っていた手順の(1)の部分を削るような感じで(目測)、先端を三分割して両端を削ります。この三分割の割合はリードの硬さやシェーバーの型と経験によって加減しています。 
IMG_3728.jpeg
6. 次に3のスジよりも1mmほど先にリードの先端を合わせて全体を削ります。
7. 両面を削ったら、リードの先端を1mmカットして仕上げます。
8. これでほぼ出来上がりです。あとは、紙やすりや棒やすりを使って微調整します。

これまでの方法は、長年この機械を使い込んできて偶然見つけたもので、基本の刃の出し方などのセッティングで都合の良いところを見つけるのに大変な熟練を要することは言うまでもありません。

一時期、私はリーガー社製のマシンを2台所有していて、この部分は一つのマシンを使い、また違う部分を削る時はもう一つのマシンを使って削る、という事をやっていた時代もありました。

2007年に、アメリカ・ニューヨーク州イサカで行われたIDRSのカンファレンスにおいて、この方法でのレクチャーを行いました。

ジョルジョ・ヴァーシグリア氏製作のマシン(Andante e Rondo社製)を使って仕上げる
私は2018年スペインのグラナダで行われたIDRSのカンファレンスに於いて委嘱作品を初演しました。持参したリードが気候等の問題で使い切れなかった為、カンファレンスの展示会でブースを出していたジョルジョ氏に興味を持ち、初対面ではありましたが、1本作ってもらって本番でそれを使って無事演奏し終わることができました。

(リードを自分で作るようになってから、自分以外の人が作ったリードで演奏したのは初めてのことでした。)

彼と気が合い、一気に親しくなった私は、2019年に東京へ招聘し、リードメイキングのレクチャーを複数回やってもらいました。その際に私も1台購入し、いくつかのテンプレートも手に入れました。中でも私のアンブシュアにはこれが合うのではないか、と勧めてくれました。

私のリードづくりの削りのポイントと共通点が多いので、彼のマシンを使って仕上げる場合は、小細工をせずにそのまま削っています。主に硬めの材料で、リーガー社の2番のシェーパーで作ったプッペを仕上げるのに使用しています。

【​リーガー社製マシンとAndante e Rondo社製のマシンの違い】
2. リードを削ります。(2つ目は上から見たところ)
ナイフで削ったような削りかすが出ていることがわかります。
3. 最後に、先端の角をやすりを使って少し滑らかにします。
あとは紙やすりや棒やすりを使って微調整します。
bottom of page